ドイツワインの品質等級         記念日におすすめの長寿命ワイン
ドイツの代表的葡萄品種         エクスレ度とは?
マドンナの功罪               名醸地モーゼル・ザール・ルヴァー
ロバート・パーカーに翻弄されるドイツワイン
<2008.3.10>


ドイツは世界でも稀なワインの国かもしれません。世界中で赤ワインがもてはやされている現在において白ワインが生産量の半数以上を占める独特のスタイルを堅持する白ワイン王国。
これにはドイツが葡萄栽培の最北限という地理的要因が大きく影響していますが、すでに赤ワインが4割近くにせまり時代の流れに押されつつあるのも事実です。さて、日本人の多くはドイツワインと聞いて、イメージするのは「甘口の白ワイン」だと思いますが、実はドイツで生産されているワインの多く(約57%)は「辛口」で、その大部分が国内消費され、国外で見かけることは多くありません。10年程前は、ドイツの辛口白ワインは一部を除いて、平坦な味で魅力に欠けるとワインと言われましたが、近年は品質がかなり向上し、スポットライトが当たりつつあると言えます。しかし、やはり注目すべきは「甘口の白ワイン」です。甘口といってもタイプは多彩で、ほのかな甘口から貴腐ワインに代表される、うっとりするような極甘口まで世界でも類を見ないバラエティに富んだラインナップを誇ります。そして、日本人の舌に最もフィットするのが、ドイツワインかも知れません。ドイツワインの魅力は、味そのものを直感的に楽しめること、そして、ワインだけでも十分楽しめる点で、まだまだ頭(知識)でワインを飲んでいる多くの日本人にとって、素直に楽しめるワインだといえます。

まずは、そんなバラエティ豊かなドイツワインを知るためにラベルに必ず書いてある品質等級を知っておきましょう! これだけで、飲まずしてワインの味がおおよそ判断できるスグレものです。


◆ドイツワインの品質等級

◆ワイン豆知識
・フルボディとは?
・ロバート・パーカーJr
・ワインをおいしく
 飲むために

・タンニンとは?
































































































































































2007年産リースリング
































モーゼルのリースリング畑



エゴン・ミュラー氏と































『まー!どんな?』

















ドイツワイン法により、葡萄の成熟度、糖度によって品質等級されています。つまり等級が高くなるに従い、一般的に甘みとボリューム感が増していくという、いたって分かりやすい区分です。また、等級が上がるに従い価格も上がるので、高いワインほど甘いと理解するのが分かりやすいかもしれません。

<等級の下から上へ>

(1) ターフェルワイン (Tafelwein) *テーブルワインクラス
このクラスは日本にはほとんど輸入されていません。水がわりに飲むレベルのワインが大半で、あったとしてもおすすめはしません。

ドイチャー・ターフェルワイン (Deutscher Tafelwein)
ドイツ産の日常消費用のワインで、生産量全体の3〜4%。やや甘みがあり、飲み口は軽快でガブガブ飲めるようなワインが大半を占めます。

ラントワイン (Landwein) *地酒クラス
フランスのヴァン・ド・ペイ クラスに相当。トロッケン(Trocken/辛口)またはハルプ・トロッケン(HalbTrocken/中辛口)に限られ、甘みが少ないため食中酒に向く。


(2) クヴァリテーツワイン (Qualitatswein) *限定地域内上級ワインクラス
日本に最も多く輸入されているクラスです。フルーティで甘みがあり、毎日のテーブルワインとしておすすめできるワインが数多くあります。

クーベーアー (Q.b.A)
正式にはクヴァリテーツワイン・ベシュティムター・アンバウゲビーテ(Qualitatswein bestimmter Anbaugebiete)、略して“クーベーアー”。現在は単にクヴァリテーツワイン(Qualitatswein)と表示されている。ドイツワインの最も大きい部分(約50%)を占めるクラスで、ご存知の『カッツ』や『ピースポーター』などが含まれ、13のワイン生産地域のいずれかが明記されています。おいしいワインを楽しみたいなら、このクラスからがおすすめ!日本に輸入されているものは、ほとんどがフルーティなやや甘口から甘口のワインです。
※優良年のワインは、カビネットやシュペトレーゼから格下げされたワインが多く、リーズナブルな掘り出し物が期待できるクラスです。
<飲み頃温度> 8〜10゚C前後。
<熟成能力>  2〜4年
<相性のよい料理> 食前酒にもOK おでんや焼鳥(タレ)、少し甘みのあるタレやソースを使った焼物や煮物、甘辛い中華料理などほとんどの料理に肩肘はらずにお楽しみいただけます!

生産地域名は以下の通り
◇アール(Ahr) ◇ミッテルライン(Mittelrhein) ◇モーゼル(Mosel ※2007.8.1より) ◇ラインガウ(Rheingau) ◇ナーエ(Nahe) ◇ラインヘッセン(Rheinhessen) ◇ファルツ(Pfalz) ◇フランケン(Franken) ◇ヘシッシェ・ベルクシュトラーセ(Hessische Bergstrasse) ◇ヴュルテムベルク(Wuerttemberg) ◇バーデン(Baden) ◇ザーレ・ウンストルート(Saale-Unstrut) ◇ザクセン(Sachsen)


(3) クヴァリテーツワイン・ミット・プレディカート (Qualitatswein mit Prdikat)
        Q.m.P               *肩書き付高級ワインクラス

ここからがドイツワインの本命。素晴らしいワインが目白押しで、6つに分けられた等級は上にいくに従い、一般的に甘み、厚みが濃厚になっていく。

カビネット (Kabinett)
十分に熟した葡萄から造られるクラス。一般的に甘口が多いが辛口もあり、食前酒、食中酒におすすめ。ワインだけでもおいしく楽しめます。一般的に生産者の味筋が最も集約されたワインと言われています。
<飲み頃温度> 8〜10゚C前後。
<熟成能力>  3〜6年
<相性のよい料理> 甘辛または甘酸っぱい味付の料理、ロースト・ポーク、チキン料理など

シュペトレーゼ (Spatlese)
直訳通り“遅摘み”の葡萄から造られるクラス。通常の摘み取り時期より最低でも1週間以上遅く収穫された葡萄が原料となり、風味と濃度が一段と高いワイン。一般的に甘口が多いが辛口もあり、食前酒、食中酒におすすめ。ワインだけでもおいしく楽しめます。
<飲み頃温度> 10゚C前後。
<熟成能力>  3〜12年
<相性のよい料理> 甘辛または甘酸っぱい味付の料理、ロースト・ポーク、チキン料理など

アウスレーゼ (Auslese)
十分に完熟した葡萄をさらに選りすぐって造られるクラス。シュペトレーゼよりも一層気品のある凝縮された味わいが楽しめます。大半は甘口で、食前酒やワインだけをじっくりと楽しんでいただけます。
<飲み頃温度> 10゚C前後。
<熟成能力>  2〜18年
<相性のよい料理> 甘辛または甘酸っぱい味付の料理、フルーツなど

ベーレンアウスレーゼ (Beerenauslese)
さらに熟した超過完熟の葡萄果粒のみを一粒一粒丹念に摘み取り造るワイン。驚くほど芳醇で深みのある味わいが特徴。甘さはアイスヴァインや貴腐ワインと遜色ないレベルの極甘口で、デザートワインとしておすすめ! 明かにじっくりと楽しむタイプのワインで、熟成能力は非常に高く、優良ヴィンテージのワインは30〜40年熟成し続けます。
<飲み頃温度> 12゚C前後 冷やしすぎずに凝視された味わいをお楽しみ下さい。
<熟成能力>  10〜40年以上
<相性のよい料理> フルーツ、デザートなど

アイスヴァイン (Eiswein)
英語名はアイスワイン(Ice Wine)。その年の12月から翌年の1月あるいは2月まで摘み取りを遅らせ、葡萄が氷結した夜中などに素早く摘み取り造られるワイン。凍った完熟葡萄を搾るためエキス分はさらに濃縮され極甘口となるが、ベーレンアウスレーゼやトロッケンベーレンアウスレーゼと違う点は、繊細な酸味があるところで、質の違う甘さが楽しめます。『10年に一度の奇跡のワイン』といわれますが、近年は地球温暖化の影響で2005〜2006年は、ほとんど生産されず、より希少なワインになっています。また、生産者にとっては、とてもリスクの高いワインで鳥に食べられたり、凍らなければ全てを失うという、ある意味「賭け」のようなワインです。
明かにじっくりと楽しむタイプのワインで、熟成能力は非常に高く、数十年にも及びます。
<飲み頃温度> 12゚C前後 冷やしすぎずに繊細な味わいをお楽しみ下さい。
<熟成能力>  10〜40年以上
<相性のよい料理> フルーツ、デザートなど

トロッケンベーレンアウスレーゼ (Trockenbeernauslese)
ドイツワインの最高のクラスで、世界三大貴腐ワインのひとつ。最適な天候状態の年にのみ造られるワインで、ほとんど干し葡萄状態になった葡萄から造られる驚くほど凝縮した味わいの甘口ワインです。個人的には「ソーテルヌ」より、さらに複雑味をもつ最も魅力的な貴腐ワインだと思います。明かにじっくりと楽しむタイプのワインで、熟成能力は非常に高く、数十年にも及びます。
<飲み頃温度> 14〜15゚C位 けっして冷やしすぎずに高めの温度で芳醇な香りと複雑味のある味わいをお楽しみ下さい。グラスは大きめがベスト。
<熟成能力>  10〜40年以上
<相性のよい料理> フルーツ、デザートなど

※ベーレンアウスレーゼからトロッケンベーレンアウスレーゼのクラスは、一般のワインに比べ、開栓後も味の変化が少ないので、飲みきれない場合は栓をして冷蔵保存すれば、かなりの期間楽しむことができます。

この他にも2000年からは、「ドイツワイン=甘口」というイメージを払拭するために、辛口ワインの表示として、「クラシック」やVDP(ドイツ高級ワイン生産者連盟)による「グローセス・ゲヴェックス」、「エアステス・ゲヴェックス」、「エーデルズス・スピッツェン」、「エアステ・ラーゲ」という区分を設けましたが、これは消費者をより混乱させるとの批判もでいます。私も同感です。

以上のようにドイツワインは品質等級されていますが、食中酒としてはクーベーアーやカビネットの方が、シュペトレーゼやアウスレーゼよりも料理の味を引き立てるでしょう。また優秀な生産者のクーベーアーが、質より量の大手生産者のカビネットやシュペトレーゼに勝ることも、よくあることです。また天候に恵まれた優良年は、良質のワインが多く生産されるため、下の格付への格下げが行なわれることがよくあり、狙い目といえるでしょう。


◆エクスレ度とは?
ドイツ人のクリスティアン・フェルディナント・エクスレ氏が考案した糖度の測定方法で、1リットルの果汁が同量の水よりどれだけ重いかで表されます。この水より重い部分の大部分は糖ですので、これを糖度の近似値とし、数値の大きいほど高い糖度となります。
ドイツワイン法では、エクスレ度がワインの格付けの要素として厳格に管理されており、生産者にとって自分の葡萄を評価する大事な指標となっています。

ドイツワイン法で各等級のエクスレ度は以下の通り
・カビネット                  67〜82エクスレ
・シュぺトレーゼ               76〜90エクスレ
・アウスレーゼ               83〜100エクスレ
・ベーレンアウスレーゼ        110〜128エクスレ
・アイスヴァイン             110〜128エクスレ
・トロッケンベーレンアウスレーゼ  150〜154エクスレ


◆ドイツワインの代表的葡萄品種
品質等級とは別に葡萄品種も知っておくことがワイン選びの大きな手助けとなるでしょう。
白ワインの場合は、なんといってもリースリングがベストです。フルーティさと豊かな酸があるドイツを代表する葡萄品種です。リースリング100%のワインは、ほとんどの場合、ラベルにRieslingと明記されています。書かれていない場合は、複数の葡萄がブレンドされていると考えて下さい。赤ワインはほとんど輸入されていません。ワイン専門店以外では見かけることは少なく、軽快な味わい、やや甘口で渋みの少ないものが多いでしょう。

(1) 白ワイン用品種

リースリング (Riesling)
ドイツを代表する最高級葡萄品種で、現在ドイツで最も多く(約20%)栽培されています。小粒の果粒で10月から11月に完熟する晩熟タイプで、この長くゆっくりとした熟成期間に豊かなアロマが育まれ、甘みと酸味の絶妙なバランスが生み出されます。特にモーゼル・ザール・ルヴァー地域のリースリングは豊かな酸とこの地ならではの豊富なミネラル分を含み、独特な魅力をもつ、世界最高のモーゼル・リースリング・ワインとなります。モーゼルの名生産者エゴン・ミュラーのワインなどは、新酒のオークションで10万円を越えるものもあり、まさに世界最高の白ワインとして愛好家の垂涎の的となっています。そして、世界で最も長寿命なワインの原料となります。

ミュラートゥルガウ (Muller-Thurgau)
リースリングに次いで二番目に多く(14%)生産され、9月末には完熟する早熟タイプで、花やマスカットを想わせる風味があります。クーベーアーやカビネットクラスでフレッシュ&フルーティな軽快な味わいのワインとなります。

シルヴァーナ (Silvaner)
ドイツに古くからある品種で栽培面積は約5%。リースリングより幾分早く完熟する、みずみずしさのある葡萄です。フランケン地方では最高の辛口ワインの原料となり、また、リースリングよりリーズナブルなアイスヴァインを生み出します。

この他にもケルナー、バッフス、オルテガ、フクセルレーベ、ショイレーベ、ジーガレーベなどがあります。


(2) 赤ワイン用品種
ここドイツでも赤ワインは増加傾向にあり、全体の37%を占めるに至っています。

シュペートブルグンダー (Spatburgunder) *ピノ・ノワール
フランスのピノ・ノワールと同一品種で最も多く(約11%)栽培されています。バーデン、アール、ラインガウ、ラインヘッセン、ファルツなどで口当りのよい赤ワインを産出しています。

ドルンフェルダー (Dornfelder)
色が濃く、渋みの少ない、ほどよいコクのある独特のワインとなるため、近年、急激に栽培面積が増加(8%)しています。ほどよい甘口の優しい口当りのワインが多く、赤ワイン初心者の方におすすめのワインといえます。


◆名醸地 モーゼ・ザール・ルヴァー
ライン河の支流であるモーゼル河、そしてそのまた支流のザール河、ルヴァー河。この流域一帯が世界最高のリースリングの産地として知られます。くねくねと蛇行するモーゼル河の急斜面に壁に貼りつくようにリースリング畑が連なっています。40゜を越える見上げるような斜度の畑も珍しくなく、機械での作業はもちろん不可能、命綱をつけての文字通り、命がけの農作業が強いられます。そういった意味では、世界で最も過酷な農作業に対して、最も割りに合わないワインかもしれません。しかし、彼らがここに固執するのは、最良の葡萄ができるからにほかなりません。川沿いの急斜面に露出したスレート(粘板岩)土壌がワインに良質なミネラル分を与え、川からの反射光が葡萄を熟成させます。ただし、モーゼル河下流では際立った品質のワインは少なく、注目すべきは中流から上流にかけて、そしてザール河周辺のものです。この地域にはエゴン・ミュラーやJ.J.プリュム、フリッツ・ハーク、ドクター・ワーグナーといったキラ星の如く輝くワインが集中し、同じリースリングでも花のように華やかなもの、鋼のようにキレ味鋭いものなど個性豊かなワインが揃っています。豊かで繊細な酸とミネラル分をたっぷりと含んだリースリングをひとくち口にすれば、貴方にとってきっと忘れることのできない思い出となるでしょう。

長年使われてきた「モーゼル・ザール・ルヴァー」のラベル表記は、2007年8月1日から「モーゼル」に変更されました。


◆記念日ワインにおすすめの長寿命ワイン!
子供の誕生記念や結婚記念などのプレゼントにワインをお探しの方へおすすめなのがドイツの甘口白ワインです。日本ではまだまだ知られていませんが、ボルドーの高級赤ワインより、はるかに長い寿命を誇るのがドイツの甘口白ワインなのです。
10万円以上するボルドー・トップシャトー物の優良ヴィンテージ品でも寿命はせいぜい30年が限界で、その保管にはセラー(低温貯蔵庫または専用冷蔵庫)が必要となります。
それに比べ、ドイツワインは現在の市場価格で考えれば1万円以下で30年程度熟成可能なワインは多く存在します。保管に関しても赤ワインほど気を使う必要はなく、セラーなしでも家庭内の冷暗所で問題ありません。
例えば、子供の生まれた年のワインを購入し、20歳の誕生日にプレゼントしようと考えた場合、私ならドイツワインを選ぶでしょう。なぜなら、赤ワインが20年後に痛んでいるとは思いませんが、おいしい状態で飲めるかといったら、疑問が残ります。ドイツワインならば、経験上20年程度であれば明らかにおいしい状態で飲めることを知っているからです。
それに、20年耐えるボルドーワイン1本の価格で長寿命のドイツワインを数本は手にすることができるのも大きな理由のひとつです。

ここでいう長寿命のドイツワインとは、ベーレンアウスレーゼ、アイスヴァイン、トロッケンベーレンアウスレーゼです。この中で最もお買得といえるのは優良ヴィンテージのベーレンアウスレーゼでしょう。これらは極甘口で、この甘みが長寿命を約束してくれます。
もちろん、フランスのソーテルヌ地区の極甘口ワインも同様に長寿命を誇りますが、やはりこちらもドイツワインの数倍の出費を覚悟しなければなりません。


◆「マドンナ」の功罪!?
多分、40歳以上の諸兄に「マドンナ」と聞けば、思い浮かべるのは歌手のマドンナかワインのマドンナでしょう。ここで取り上げるのは、もちろんワインの「マドンナ」です。
マドンナといえばサントリー社が輸入するドイツワインで、発売は1972年というから既に35年以上のロングセラーを誇ります。若い世代の方はご存じないでしょうが、当時は輸入ワインなどというものは東京のデパートあたりでしか見かけることはなく、このマドンナの登場は一世を風靡したものでした。当時、テレビCMもかなり放映されていたので、日本人が初めて飲んだドイツワインのほとんどは、このマドンナだったと思います。このワインは正式には『リープフラウミルヒ』というジャンルのドイツ・ファンケンベルク社が生産するワインで、ちなみに「リープフラウミルヒ」は、現在、日本で500〜800円位で販売されているワインです。
日本にドイツワインを広めたという点でマドンナの功績は絶大なものであったことは、誰もが認めるところでしょう。なにせ、日本中の酒屋に輸入ワインといえば、マドンナくらいしかなかった時代が10年ほど続いたのですから。しかし、問題はその後です。このマドンナはラインヘッセン産の4種類の葡萄をブレンドしたワインで、ほのかな甘口と書いてありますが、けっこう甘いんです。フルーティで嫌味がなくて飲みやすい。だけど、複雑味などなく、ただ甘い。そう、本当の入門者向けのドイツワインなのです。そうして、日本人の舌に「ドイツワイン=マドンナ」、「ドイツワイン=甘ったるい」が刷り込まれてしまったと思います。当時、日本のワイン国別輸入量で2位あたりを誇っていたドイツワインは現在5位あたりまで落ち込んでいます。もちろん、時代の変化、嗜好の変化はあると思いますが、私はマドンナの「甘ったるい」が、ドイツワインのバラエティに富んだ味の世界への選択肢を狭めてしまっという気がしてなりません。なにせ、私も最初に飲んだ輸入ワインはマドンナで、20〜30年前に飲んだ「甘ったるさ」を未だに覚えているのですから...。

かのロバート・パーカーJr.は彼の著『パーカーズ・ワイン・バイヤーズ・ガイド』の中で、「リープフラウミルヒ」をこう評価しています。「甘ったるいブドウの飲み物というだけで、良質なドイツワインとの差は、カリフォルニアのワインクーラーとアメリカの真面目な生産者が造ったワインとの差と同じである。」


◆ロバート・パーカーJr.に翻弄されるドイツワイン
ロバート・パーカーJr.といえば「ワイン界の大御所」、「世界のワインの値段を左右する男」として知られる世界屈指のワイン評論家です。どのくらい凄いのかというと彼が90点以上つけたワインは瞬く間に価格が倍以上に跳ね上がり、品切れし、世界のワインの頂点を極めるボルドーのグランクリュ・シャトーでさえ彼の採点を見てからプリムール(新酒)価格を決めるという異常さ。それも、彼のつける1点の差が数億〜数十億円という結果となってかえってくるため、無視することのできない存在で、今や『ワイン界のモンスター』といえます。
そして、その彼が「ドイツワイン嫌い」ときたものだから、ドイツワイン業界にとっては非常に頭の痛い悩みのタネ。彼のワインの好みは「こってりとした赤ワイン」と「コクのある辛口白ワイン」あたりが代表的で、このタイプのワインに高得点がつけられます。もちろん、本人曰く、採点はあくまで個人的見解で嗜好品とはそういうものだという、もっともな意見。しかし、このタイプのワインはドイツにはなく、まったく対極にあるワインがドイツワインといえます。

彼の代表的なワイン評価本『パーカーズ・ワイン・バイヤーズ・ガイド5th』では、フランスワイン1430ページ、イタリアワイン260ページ、スペインワイン75ページ..に対して、ドイツワインはわずか16ページという悲惨さ。しかし、これはパーカーが自分ひとりで全てのワインを試飲し、評価するという手法で採点しているため、他国のワインに比べ試飲経験の少ないドイツワインがはじかれたと解釈できます。この本の中で彼はリースリングと一部の優良生産者については高く評価しているものの、辛口ワインに至っては「薄っぺらで退屈な..」と酷評しています。
先にも言ったとおり、彼のワイン界に与える影響は絶大であり、特にインターネットによるワイン販売が普及した現在、日本のネットショップはパーカー一辺倒の状態が続いています。皆様もお気付きのように、ネットショップの多くはワインを自ら試飲することをせず、パーカーの点数とコメントをコピーすることに明け暮れ、インポーターの多くもパーカー高得点ワインばかりを競って輸入しているのが現状です。そのため、パーカーの著書に記述の少ないドイツワインが輸入されないという悪循環に陥っています。その証拠に多くのネットショップでドイツワインはお飾り程度にあるだけで、中には「マドンナ」だけという度胸ある店が存在することには驚かされます。


当ページは、今までの経験や事実、資料を基にできるだけ中立な立場を心がけ
作成しておりますが、個人的見解も含まれます。
「ここは違うんじゃないの?」というご意見がございましたら
メールにてご指摘、ご指導お願い致します。今後の参考意見とさせていただきます。


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