「水を大切にする気持ち」が、この国ではいつしか失われてしまいました。
水は命の根源。この地球に住む生物すべての命の源です。
水は雨となり、地上に降り注ぎ、多くの生物に命を与え、川を形成し、海に注ぐ。そして、また雲となり空に昇る。この自然のサイクルを約40億年繰り返してきたと言われます。しかし、現代文明はわずか数十年の間に、この悠久の昔から続いてきたリズムを乱しはじめました。
「水はタダ」という認識。はたして、そうなのでしょうか?生物にとって最も大切なものを軽視する文明が長く続くとは思えません。
私達の子供や子孫、そして多くの地球上の生物が暮らせる環境を残すことが、今の私達がすべきことではないでしょうか。
“便利さ”や“楽”と引き換えに一番大切なものを失う前に、私達は考え直さなければなりません。

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ここに紹介する文章は、今から150年ほど前に書かれた私達への
メッセージです。自然とともに暮らしたインディアン達が継承してきた、
自然への敬意を綴った尊い内容の手紙です。
私達は、文明という名のもとに、多くのかけがえのないものを奪って
きたという事実を認識しなければなりません。



1854年 アメリカの第14代大統領フランクリン・ピアスは
インディアンたちの土地を買収し、居留地をあたえると申し出た。
1855年 インディアンの首長シアトルは、この条約に署名。
これは、シアトル首長が大統領に宛てた手紙である。


「父は空 母は大地」 インディアンからの手紙
訳・寮 美千子


「ワシントンの大首長へ そして未来に生きる すべての兄弟たちへ」

はるかな空は 涙をぬぐい
きょうは 美しく晴れた。
あしたは 雲が大地をおおうだろう。
けれど わたしの言葉は
星のように変わらない。

ワシントンの大首長が
土地を買いたいといってきた。
どうしたら
空が買えるというのだろう?
そして 大地を。
わたしには わからない。
風の匂いや 水のきらめきを
あなたはいったい
どうやって買おうというのだろう?

すべて この地上にあるものは
わたしたちにとって 神聖なもの。
松の葉の いっぽん いっぽん
岸辺の砂の ひとつぶ ひとつぶ
深い森を満たす霧や
草原になびく草の葉
葉かげで羽音を立てる
虫の一匹一匹にいたるまで
すべては
わたしたちの遠い記憶の中で
神聖に輝くもの。

わたしの体に 血がめぐるように
木々のなかを 樹液が流れている。
わたしは この大地の一部で
大地は わたし自身なのだ。


中略


それなのに 白い人は
母なる大地を 父なる空を
まるで 羊か 光るビーズ玉のように
売り買いしようとする。
大地を むさぼりつくし
後には 砂漠しか残さない。

白い人の町の景色は わたしたちの目に痛い。
白い人の町の音は わたしたちの耳に痛い。


中略


わたしが 大地の一部であるように
あなたも また この大地の一部なのだ。
大地が わたしたちにとって
かけがえがないように
あなたがたにとっても
かけがえのないものなのだ。

だから白い人よ。
子どもたちに 伝えてきたように
あなたの子どもたちにも
伝えてほしい。
大地は わたしたちの母
大地にふりかかることは すべて
わたしたち 大地の息子と娘たちにも
ふりかかるのだと。

あらゆるものが つながっている。
わたしたちが
この命の織り物を織ったのではない。
わたしたちは そのなかの
一本の糸にすぎないのだ。

生まれたがばかりの赤ん坊が
母親の胸の鼓動を したうように
わたしたちは この大地をしたっている。
もし わたしたちが どうしても
ここを立ち去らなければならないのだとしたら
どうか 白い人よ
わたしたちが 大切にしたように
この大地を 大切にしてほしい。
美しい大地の思い出を
受け取ったときのままの姿で
心に 刻みつけておいてほしい。
そして あなたの子どもの
そのまた 子どもたちのために
この大地を守りつづけ
わたしたちが愛したように
愛してほしい。 いつまでも。

どうか いつまでも。





※全文はこちらをご覧下さい。
『父は空 母は大地[対訳版]』(寮美千子・編訳 パロル舎刊)
http://ryomichico.net/seattle.html#father_sky_mother_earth
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