◆日本酒試飲会報告 その12 2012/9/12        << 試飲会報告 その11  試飲会報告 その13>>


『第38回 日本名門酒会 全国大会』
日本国内最大となる地酒の販売組織『日本名門酒会』加盟店の年に一度行われる
全国大会に行ってきました。

『日本名門酒会』とは、日本全国の地酒販売の専門店と北は北海道、南は沖縄までの
清酒/焼酎/ワイン/食品メーカーが加盟する組織で、地酒メーカーには、男山、新政、
浦霞、一ノ蔵、大七、真澄、菊姫、梅錦、司牡丹などの各地を代表する名酒蔵約80社が
加盟する名実ともに日本の地酒界を牽引してきた国内最大の最大組織です。


  

  

昨年の東日本大震災以降、日本酒に注目が集まり、日本酒の魅力が見直されはじめています。
といっても全盛期の3分の1程度の生産量までに落ち込んでいるのも事実です。

若い人達が酒を飲まなくなったのは事実で、特に日本酒業界は危機に直面しています。
しかし、日本名門酒会に加盟しているような品質重視でしっかりとした酒造りを行っている酒蔵は
生産量を伸ばしているのも事実です。

日本酒不振の最大の原因は、日本酒の大きな割合を占める大関、黄桜、日本盛、月桂冠、白鶴などと
いった大メーカーが作るパック酒にあります。
これらの製品はおよそ日本酒とはほど遠い“混ぜ物”の産物です。
スーパーの安売り商品の目玉のような製品で、大手メーカーが安売り合戦で安く売ることだけを
追求した『エセ日本酒』です。
こんなものを飲まされている消費者はたまったものではありません。
これで日本酒がおいしいと感じる消費者は滅多にいないはずで、日本酒離れを起こしています。
これが日本酒不振の最大の原因であることはかなり以前から問題となっていましたが
当事者の大手メーカーに改善の兆しはなく、まさに自分で自分の首を絞めている状態が続いています。
いずれ何社かが倒産するでしょう。また、そうならなければ日本酒業界事態が破綻するでしょう。

話がそれましたが、現在、日本酒はそのような危機的状況にある事を知っておいて下さい。

さて、本題に戻りますが、この全国大会は毎年のように活況です。
なぜなら、この『日本名門酒会』の加盟店の多くは日本酒を販売するプロ中のプロが多く、日本酒についての
豊かな知識があり、日本酒を広めることに生きがいを感じているような人達ばかりだからです。

  

今回の試飲会でこれはと思った酒は以下の通り

・天寿(秋田) ひやおろし     バランスが非常によい。
・亀泉(高知) 吟醸         バランスよく、しっかりとした味わい。香りも強すぎず、正統派。
・香露(熊本) 上撰 本醸     まろやか、ふくらみあり。 これぞ本醸造
・司牡丹(高知) 豊麗 純米   まとまりよく、まろやか。
・梅錦(愛媛) 杜氏の酒 純米  価格もリーズナブルで上質。
・宗玄(石川) 能登の国 純米  やわらかく、ふくらみあり。
・一人娘(茨城) 本醸       とてもマイルド、ふくらみあり。 これぞ本醸造
・五橋(山口) ひやおろし     なめらかな口当り、バランスよし。
・白瀧(新潟) 魚沼 辛口純米  重すぎず軽すぎず、ほどよい辛さ。

100種類程度の利き酒をした中でも、これは皆様に紹介したいなと思った銘柄をメモしときました。
いずれも奇をてらった味ではなく、まさに洗練された飽きのこない長〜く飲める酒質です。
こういった酒は誤魔化しがきかないため最も酒造りが大変だと思います。
お酒に限らず現在、定番となっているものというのは、長い歴史と多くの試行錯誤、技術により
造り上げられた最高の傑作かもしれません。
定番の中にこそ、そのメーカーの姿勢、考え方が見え隠れするものです。

先の話ではありませんが、大手酒造メーカーの定番品がパック酒であるというのは悲しいものです。


全国大会では試飲会が終わると懇親会があり、その時に「夏生選手権」という季節限定品である
“夏の生酒”の人気投票の結果発表と表彰式があります。

賞を得たのは、浦霞(宮城)、一ノ蔵(宮城)、大七(福島)、真澄(長野)の各地を代表する名門蔵。
そして、最優秀賞には秋田の新政(アラマサ)。
今や酒質がグングンと改善され東北で最も注目を集める蔵であり、今期より純米酒以上しか造らない
という徹底的な方向性を出している。
新政といえば酒通の方であればご存知と思いますが「六号酵母」の分離蔵として知られ、150年ほどの
歴史を刻む蔵ですが、現在は若い世代の社長に変わり大改革が行われています。
酒造りの方向性、酒質、設備などすべてが見直され変更されている過渡期のようですが、着実に結果を
出しているようです。
しかし、新政の酒を飲んでみると奇をてらった味というものはなく、特別な個性を出す訳ではなく、
まさに定番の品質を磨くといった感じの王道的など真ん中の酒質です。
様々な雑多なものが入り乱れる現在では、やはり正直に真面目に造られたものが見直されている
ということなのでしょうか。

  

懇親会はホテルの大宴会場で数百名が参加して行われる立食形式のパーティです。
「夏生選手権」の表彰式後にテーブルでひとりで一杯やっていると私の隣で「一杯いかがですか?」と
一人の男がニコニコと立っています。
「えっ?」と思って顔を見ると、この日本名門酒会のトップである渇ェ永の本部長・飯田永介氏でした。
近況などを話して酒を酌み交わしました。 これだけ大勢の中から私の顔を見つけて挨拶に来てくださる
とは嬉しい限りです。
そして、その後ほろ酔い気分で家路へと向いました。



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