◆ワイン試飲会報告 その4 2009/2/10           << 試飲会報告 その3  試飲会報告 その5 >>

2月に入り、試飲会があちこちで目白押し。2月は日本酒は別として酒業界にとっては閑散期、ということもあってか「春の試飲会」が全国各地で開催されている。
今回の試飲会は今や中堅を越え主要ワインインポーターといえる「モトックス社」。
前回の「秋の試飲会」は、今までで一番の客数を記録しただろうと思える盛況ぶりに驚かされたが、今回は状況が一変し、世界的な大不況の真っ只中ではたしてワイン業界はどうなるだろうか?という一抹の不安を感じながら出向いた試飲会だったが....

◆ 不況の中、人、人、人...の驚くべき混雑! いったい何で!? ◆

試飲会場は毎回お馴染みとなっている新橋駅近くの某ホテル。
今回は午前11時頃に現地到着、この時間からだと昼食抜きの長丁場になるだろうと思われたので、まずは腹ごしらえをしてから会場入りする。
会場を覗いてびっくり!なんと会場は人、人、人の海でごった返している。まるで年末のアメ横状態!
人数にして数百人から千人ほどいるのではないかと思われるほどの満杯状態。それもまだ開始直後の午前中の時間でだ。いつもならまだ百人程度の客数でゆっくりと試飲できる時間帯なのだが、明らかにいつもの10倍くらいの混雑となっていた。
顔見知りのスタッフを見つけて声をかけてみる。「どうしたの?すごい人だね」、スタッフ「いやー、まったくわかりません。きっと不況で安くて目新しいワインを探しに来ているんじゃないですかねー」との事。
試飲客を見回してみると小売業より圧倒的に飲食店関係者が多い。ここの顧客には東京のイタリアンレストラン系が多いことは以前から知られているが、彼らが春のメニュー変更の前に安くて新しいワインを探しに来ているようだ。東京の飲食店も不況の煽りで昨年半ばより客足が遠のき、高級店ほど深刻だと聞いている。当然、高いワインは敬遠され、より安いものが要望されている事を実感する。

 


◆ 過去最多の出品数 ◆
テイスティングリストを見てみると今回のアイテム数は189種類。かなりの数だ。
内容的には「秋の試飲会」とさほど変わりはなく、特に目新しい動きはないように思えた。
リストの先頭はアルゼンチンやチリなどのコストパフォーマンスの高いワイン群で、これらは前回も試飲して既に当店でも取扱い済みだが再度確認のためにチェック。やはり圧倒的なコストパフォーマンスの高さで当分は南米ワインの輸入量は増え続けるだろうと確信する。

イタリアワインは約40種類と大きくコーナーを取っているが今までと少し異なるのはミドルレンジの価格帯が多いこと、やはりレストラン向け商材のため高額ワインを避けている様子がうかがえる。
『即戦力イタリアワイン』コーナーもあり、やはりレストランが苦戦していて、このような要望が多いのだろう。

ボルドーワインは、かなり縮小気味の赤白合わせて15種類程度。ヴィンテージは2006年中心。
良い判断だと思う。前にも述べたが2007年ボルドーの赤は、売るには申し訳ないほど未熟なワインが多いことはすでに周知の事実。モトックスでは現在、2007年ボルドー赤は1種類しか輸入していないようで、これはとても賢明な判断だと思える。もちろんボルドーワインは、ワイン屋にとって最も重要な商材であることは間違いないが、お客様に自信をもって紹介できない商品は取り扱わないというポリシーは絶対必要だと思う。

南フランスワインも20種類ほど出品されていたが、こちらはいずれもレベルが非常に高い。特に目新しいワインがあったわけではないが、もともとこのエリアには強いインポーターなので、長年の集大成が結実したといった感がある。さらに円高による値下げもそろそろ始まっており、コストパフォーマンスも更に上昇し、満足ゆくワインが多い。

今回のニューフェイスで最も気になったのがアメリカ・サンタバーバラ地区の「ディアバーグ・ヴィンヤード」のワイン。
シャルドネとシラー、ピノ・ノワールの3点が出品されていたが、いずれもハイレベルで個人的には今回の試飲会のベストワインだった。特にシラーは濃厚かつ深みがあり、カカオや葉巻のフレーバーが魅力的だった。
価格的には¥4800と安くはないが、同価格のボルドーやトスカーナと比べると内容は数段上で圧倒的な存在感を感じるワインだった。


いつもの事だが、ここで口直し用に出しているオリーヴオイルが素晴らしくおいしい!
それはイタリアのキャンティ・ルフィーナの名門生産者グラーティ家が5世代に渡り作り続けているという「グラーティ・エキストラ・ヴァージン・オリーヴオイル」。
特に今回のものは2008年産の初物とあって、驚くほどフレッシュで青々として、色もとびきり綺麗なグリーンだ。
値段は500mlで3000円とけっして安くはないが、ゴクゴク飲むわけではないのでワインと比べたら、安い買い物なのではないかと考えさせられてしまった。でも、このオリーヴオイルは実際にゴクゴク飲めるほどクリーンでさっぱりしてます。



◆ 白ワインのサービス温度に注意 ◆
ワインの試飲で重要なのは、「ワインの温度」と「グラス」で、この2つに問題があると本来の味は正確に判断できなくなる。こちらの試飲会では国際規格と思われるテイスティンググラスとシャンパン用フルートグラスを使用しているのでグラスにはまず問題ない。
「ワインの温度」は、赤ワインについては一般的に室温(18゚C前後)がベストとされているので、このような空調の行き届いた会場では特別な不手際がない限り、ほとんど問題は起こらない。
問題はいつも白ワインに起こる。白ワインは基本的に冷やすが、ワインによって適切な温度帯が異なる為、かなり厄介で、手間がかかることは確かだ。
多くの試飲会で氷水にボトルを入れて冷やすというのが一般的になっているが、明らかに冷やしすぎの場合が多く、冷やしすぎたワインほど味が分からないものはない。今まで数多くの試飲会に出席させてもらっているが、はっきり言って白ワインの温度が適正に管理されている試飲会はほとんどないというのが現実である。
残念ながら今回も出品された白ワインの半分程度は明らかな冷やしすぎでテイスティング不可能だった。

各インポーターは白ワインのサービス温度にもっと注意を払うべきで、生産者からすれば自分達のワインが適切にテイスティングされていないことは非常に悲しむべきことだと思う。そして、試飲する側もプロなのに、それをまったく指摘しないというのもおかしな話でまだまだ未熟なのかもしれない。

    
テイスティングの分量目安     大量に用意されたテイスティンググラス       祭のあと...
このようなグラスに注ぐ分量目安まであるのに、平気でなみなみと注いで捨てる人間が多いのにも呆れる。


時間が経つにつれて試飲客もさらに増え続け、午後3時すぎにはあちこちで試飲用ワインが品切れするという事態に...

結局、この日は189本の出品中、116種類をテイスティングして終了する。


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