◆ワイン試飲会報告 その3 2008/10/15          << 試飲会報告 その2  試飲会報告 その4 >>

先週の「モトックス」、「稲葉」の試飲会に続き、今回は「重松貿易」のワイン試飲会に。
この時期は試飲会シーズンでほとんど毎週のように試飲会が続き、今月は一応これで打ち止めの予定。
「重松貿易」は昔、洋酒の並行輸入を主たる業務としていた会社で現在も少量行なっていますが、メインはワイン・インポーター。当店とは、その洋酒の並行輸入時代からの取引があり、確か1993年頃だったと思いますが、当時の責任者が当店を訪ねてきて、ワインを取扱いたいのだけど、どんなワインを取り扱えば良いのかと相談されたことがありました。彼には先見の目があり、1年ほどでかなりの種類のワインを集め、みるみるうちにワイン業界に頭角を現しました。
そして、その後の爆発的な赤ワインブームなどがあり、国内でもトップクラスの輸入量を誇るまでに成長し、まさに快進撃を見せました。とても小回りの利く会社で、安くておいしいワインをちょこちょこと見つけ、現在、サントリーなどの大手が扱っているワインの中にも、この会社が発掘したワインがいくつもあります。
そういえば当時、この会社が輸入したワインで1000円程度で販売していたワインが、契約切れで大手企業が販売権を得ると、そのワインが3000円位の売価に跳ね上がることがよくあり、いくらなんでもボリ過ぎだろうと思いましたが、大手企業の価格設定を知るよい機会になりました。

「重松貿易」の試飲会も春と夏の年2回行われ、会場はここ数年、巣鴨にある東京支店の会議室。20人も入れば、いっぱいになってしまうような狭い会場ですが、参加者は得意先の小売店関係者のみで飲食店関係者はいません。今回もいつもの通り、巣鴨駅前の立ち食いソバで腹ごしらえをして、11時に会場に到着。
受付を済ませワインリストを貰うと、出品ワインはなんと191種類というテンコ盛り。多分、最も小さな会場で最も多くのワインをラインナップした試飲会としては日本一かもしれません。
ざっと見渡すと1/3以上のワインは以前に何度か試飲していたり、取扱いのあるワインだったので、新しいワインを重点的にチェックする方向でテイスティングを開始することに。

      

まずは10種類ほどのスパークリングから開始。モエ・エ・シャンドンがアメリカで生産しているという「ドメーヌ・シャンドン」があったのでチェックしてみる。使用葡萄はピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・ムニエとシャンパーニュとほぼ同じで品質も高いが、価格は2〜3年前のシャンパーニュの価格でちょっと高め。

2007年産ボルドーが出ていたので白ワインはパスして、赤ワインを開始することにする。
出品されていたのはプティ・シャトーの2007年産ACボルドーとACコート・ド・ブライの5種類で全て「ボルドー・コンクール金賞受賞ワイン」と書いてある。2007ボルドーは今回が初めての試飲なので期待が膨らむ。
グラスに注ぐと「えっ!?」というほど色が薄い。口に含むとやはり青臭く、味も薄く、ライトだ。秀逸な2005年、2006年を飲み慣れているせいか明らかに見劣りする。これがただのプティ・シャトー・ワインなら諦めもつくが、金賞受賞ワインだということが問題を深刻にさせている。すべての2007ボルドーがこのレベルでないことを祈りたい気持ちになった。。

その後はボルドーのオンパレードで約50種類ほどのボルドーの内、40種類ほどを立て続けにチェックする。
ここで抜きん出ていたのが「シャトー ル・ブルデュー・ヴェルテイユ」というオー・メドックの2005年。明らかに香り、果実味、濃縮感、バランスともに最高の出来で別格という感じで圧倒的な存在感。





ボルドーの「シャトー ル・ブルデュー・ヴェルテイユ」
気になって2回確認のために試飲した。
※このワインは取扱い決定。






2006年のお手頃価格のボルドーにもいいものがいくつかあった。「シャトー フーブ」、「シャトー モークリュ」、「シャトー ヴィエイユ・スーシェ」、「シャトー オー・メテ」の4本ですべて国際的コンクールの金賞受賞ACボルドー。
ミディアムからミディアムフルボディで果実味豊かでマイルド、2006年の特徴を備えた優しさのあるワインで、2005年ほどの濃厚さはないが、厚みは十分で本来のボルドーらしい魅力溢れる秀逸なワイン。




2006年ボルドー、こちらは揃って良い出来。
典型的な2006年のエレガントな味わい。
※5種類とも取扱い決定。



その他に目立ったボルドーは「シャトー サン・ジャン・レゼルヴ2004」、「シャトー デュ・ブスケ2005」、「シャトー フェランドゥ2005」など。

試食用に出されていたチーズが気になり食べてみると、これがかなりおいしい。カマンベール、ブリーにガーリック味のクリーム系チーズなど、どれもかなりいける味だ。やっぱりワインにチーズは良く合います!
しかし、当店のような田舎町では、やはり輸入チーズの販売は厳しいものがあり、一時は多くの輸入チーズも揃えましたが賞味期限の短さなどもあり、結局は自家消費が大半となり商売としては難しいものかあります。
スーパーなども同様で、オープン時には数多くのチーズが品揃えされますが、半年も経って行ってみると輸入チーズは姿を消し、国産大手メーカーのチーズだけに縮小されている光景を度々見ました。
まだまだ、チーズのおいしさは日本では知られていないように思えます。



次はブルゴーニュをチェックするが、このあたりから舌の調子が怪しくなってくる。50種類ちかくのボルドーの後だから、当然といえば当然かもしれない。明らかにテイスティング順を間違えたようだ。通常ピノ・ノワールのような繊細なワインはヘヴィなワインの前にテイスティングしないと正確な判断ができなくなる。
今回の試飲会は主催者の「売りたい順」に並べられてあるので、このような試飲会では自分で順番を考えて試飲しないと訳が分からなくなるので注意が必要だ。今回は2007ボルドーに興味をそそられて、そのままボルドーに突入してしまったのが失敗の原因だった。

数年前から輸入されている「インカ」というアルゼンチンワインがあるが、久しぶりにチェックしてみると、これがなかなかいい。樽香が絶妙で濃縮感があり、まろやか。以前よりさらに洗練されてきた気がする。ネットでは販売していないが、当店でもピノ・ノワールとカベルネ/マルベックの2種類を販売しているのでお近くの方は試していただきたい。価格も1000円台前半とかなりお得!

あと目立ったのは、過去に雑誌などでも高く評価されたことのある“スーパー・ピノ・ノワール”、チュニジアの「レヌ・ディ・ドン」とルーマニアの「クロ・ビュザオ」。当店でも初輸入当時から取り扱っているワインだが、改めてチェックしてみると、密度が高く、なめらかで深みもあって、飲みやすい。特に「クロ・ビュザオ」は、ほのかな樽香とスパイシーさがあり絶妙な味わいだった。

際立っていたのはフランスのドメーヌ・マス・デ・ラヴァイユが造るヴァン・ド・ペイ(テーブルワイン)の「エゴ」。
グルナッシュ・ノワールという葡萄から造られるこのワインは果実味豊かで洗練されたクリーンな味わいでまさにエレガント!今回の試飲会で一番の発見だったが、ちょっと高いのが残念。

今回は191種類の出品ワイン中89種類をテイスティングし、2時過ぎに終了。かなりの高速テイスティングだった、というのも今回のテイスティングリストが箇条書きタイプでメモを記入するスペースがあまりなかったので、その分早く進んだという理由があった。


◆2007年ボルドーを飲んで気付いたこと◆

やはりワインは農産物であるという事実。驚くほどの凝縮感をもった2005年、それに続くエレガントな2006年ボルドー。良い年もあれば、悪い年もある。これが自然の摂理と思えば、それほど嘆くこともない。
投資マネーが流れ込んで、異常と思える高値となった2005年と2006年ボルドー。頭を冷やすちょうどよい機会だと思う。ワインの世界から投資家は退場していただきたいと願う人は多いと思う。私ももちろんその一人だ。

帰ってから調べてみると、ワイン評論家ロバート・パーカーは4月に行われたボルドーの2007年ビンテージの試飲会における評価として軒並み「低い点数」を付け、「ボルドーの2007年ビンテージは、大幅に値引きされるのでなければわざわざ買う必要はない」とバイヤーにアドバイスしたとのこと。

もちろんボルドーは売り手側にとって最も重要な商材であることは変わりないが、消費者には他のワインを試す絶好のチャンスではなかろうか。世界のワインは刻々と進化している、新たなる産地から未知のワインが続々と発表されている現在は、ワイン界の大きなターニングポイントの真っ只中にあるのかもしれない。
各インポーターにとっては、ワイン愛好家のために2007ボルドーの輸入を控えるといった勇気ある決断も必要かもしれない。



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