<2008.2.9更新>

ボルドーのグランクリュ(特級)クラスワインが異常な値上がりを続けています。1〜2年程前までの値上がりの要因はユーロ高と中国、インドなど今までワインを飲まなかったアジア諸国の輸入増加でしたが、現在は明らかにワイン投機によるものになってきました。

2005年産ボルドーは例外的な優良ヴィンテージということで価格が跳ね上がり、その後の不作といわれる2006年ボルドーさえ価格が高値止まりの様相です。特にボルドー5大シャトーと呼ばれるChラトゥール、Chマルゴー、Chラフィット、Chムートン、Chオー・ブリオンの価格は、この1年で輸入価格が2〜3倍程度跳ね上がり、そのセカンドラベルはもちろん、その下のグランクリュも軒並み値を吊り上げています。

少なくとも現在は、異常に高値の高額ボルドーワインを買う時期ではありません。
現在は高級ボルドーがこの20〜30年間で最も高くなっている異常な時期です。
同じワインが一年間で倍以上の価格となり、本来の品質以上の価格がつけられています。
株相場が不安定な現在、ワインへの投機は今しばらく続くでしょうが、投機対象となるワイン自体が市場にはすでになくなりつつあるので、この先何年も続くことはないと予想されます。

もちろん、高額ボルドーは普段に飲むという類のワインではありませんので、いずれ下がるのを待つ方が賢明です。今、買うことにより現在の高い価格のワインが輸入され、価格の下がる時期が、先延ばしされることは明白です。
もちろん、どうしても今、欲しいという方は例外ですが...

私どもは、ワイン価格のプライオリティは、消費者にあるべきだと考えております。
そのために消費者は、賢い選択をしなければなりません。

輸入ワインの価格は、為替相場と人気により常に変動しています。その品質に見合った対価を払う、それが適正なワイン価格を形成していきます。
これは日本が良質なワインを適正価格で入手するために、とても重要なことです。
もちろん、日本のワインインポーター各社は慎重に輸入計画を立てるべきです。「売れればいい」という考えは、少なからずとも今後の日本のワイン業界に悪影響を及ぼします。

ワインは、投資家や一部のコレクターのものではありません。単なる飲み物のひとつにすぎませんし、飲んではじめて価値が分かるものです。


P.S ペトリュスの元醸造長、プリムールを批判 <読売新聞2008.2.7より抜粋> (2008.2.9)
シャトー・ペトリュスの醸造長を長年にわたって務めたジャン・クロード・ベルーエ氏が、過熱するボルドー・プリムールを批判した。
ベルーエ氏は1964年以来、ペトリュスのワイン醸造を担当し、2007年の仕込みを最後に引退した。発売中の英国「デカンター」誌3月号で、収穫の翌年春に樽熟成中のワインをジャーナリストやワイン商が評価し、価格が決まる現在のシステムを批判した。
収穫から半年足らずのワインを販売するのは「メディアの造り出したイベント」であり、ワインを知る人間にとっては、「品質が変わり、狂気の時期に判断すべきでない」としている。

また、投機的な市場については、「ワインにとって悲劇。投資の対象になったらもはやワインではない」とした。


P.S 2006年ボルドー・プリムール(先物取引)価格が発表 (2007.7.15)
フランス・ボルドーの1級シャトー(Chムートン、Chマルゴー、Chラフィット、Chラトゥール、Chオー・ブリオン)の2006年産ワインの新酒価格が出揃いました。「第一ネゴシアン第一回出荷価格」は、1本(750ml)当り、325〜330ユーロ。現在の1ユーロ=163.3円で換算すると53000〜54000円。これはシャトー蔵出し価格であるため、実際には輸出業者、輸入業者、小売店のマージンに輸送コスト、税金など諸々含めると日本国内では10万円前後になると予想されます。
この数字を見るとボルドー1級シャトーは、この2004年産と比べ約3倍に値上がった計算で、世界各国でこのクラスのワインが投資対象として扱われていることが如実に表れた結果と言えるでしょう。この数字を見る限り、先日の2004年産のインデント・リストは、あながち特殊な例ではなく、現在の流れのようです。
ワインを金儲けの道具としてしか見ていない人達によって、マーケットが大きく乱されています。これらのワインの真の価値は、ワイン愛好家にしか判らないものです。賢明なワイン愛好家の諸氏には買い控えることを期待いたします。ハゲタカがワイン・マーケットから去るまで...


P.S 異常価格進行中... (2007.7.7)
日本国内のあるインポーターからインデント・リストが送られてきました。インデントとは、予約輸入のことで、一般的に通常の仕入れに比べ、インポーターの在庫リスクがないため若干安く仕入れられる仕入方法です。しかし、このリストに並んだ数字を見て驚きました。
2004年産のボルドー・プリムール(新酒)の価格には、シャトー・マルゴーが50000円代!、シャトー・ラフィット 60000円代!!、シャトー・ラトゥール 70000円台!!! という目を疑う数字。念のため、これは小売店の仕入価格で、小売価格ではありません。
ボルドーの2004年は、2000年や2005年のような特別に傑出した年ではなく、言わば平凡な年。この年のワインに、どれだけの価値があるのでしょうか?まさに価格だけが独り歩きしているマネーゲームの様相です。。

今、フランス国内ではフランス産の高級ワインが入手できないという事態に陥っています。理由は、中国やロシアの金持ちが大量に買占め、かなりの量が流出しているという事です。そのため、フランス在住のワイン愛好家は、国外にオファーを出し、逆輸入してでも、その方が安いという本末転倒の状況になっています。これは、1998年頃の「空前の赤ワインブーム」の時よりも深刻な状況です。あの時も、やはり中国系のボルドー買占めにより品薄となり、適切な保管をされなかった劣化ワインが日本に輸入され、涙を飲んだ多くのワイン愛好家がいました。あれから10年でまたしても悪夢の再現、そして今回はさらに価格が跳ね上っています。

日本国内にも「ワインで一儲け」を謳った、ワインを株や金融商品かのように取り扱うサイトが散見されます。彼らにとってワインの魅力とは、価格だけで中身ではありません。きっと、コルクを抜くこともないでしょう。何度も言いますが、ワインは単なるお酒のひとつにすぎません。馬鹿げたお金を支払って、飲むものではありませんし、価値を決めるのは貴方の舌なのです。


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